スティーブ・ジョブズ (漫画) 感想| カリスマ経営者の最低っぷりが一周回って清々しい
- 02/24/2015 12:00
『スティーブ・ジョブズ』1巻から3巻まで、まとめて感想。Kiss(講談社)で連載してる伝記漫画。作者はテルマエ・ロマエで有名なヤマザキマリ。
今日2月24日は故スティーブ・ジョブズの誕生日だったということで無理くり関連付けてレビュー。
タイトルから想像できるように、主人公はスティーブ・ジョブズ。iPhoneで有名なアップルという企業のカリスマ社長。・その半生を綴ってる。ただ厳密には自伝書or自伝マンガではない。
ウォルター・アイザックソンというアメリカの作家が取材したジョブズの伝記本をベースに、『テルマエ・ロマエ』で知られるヤマザキマリがマンガ化してる。だから一方的に、スティーブ・ジョブズのスゴさを喧伝する内容ではない。
現在は3巻まで発売されてるんですが、内容的には学生時代からアップルを起業してパソコンのMacintoshを作るあたりまで。おそらく今後は2011年に亡くなるまで連載は続きそう。
(2巻)
例えば、そのMacは自宅の小屋で作られたと言われてますが、それは事実。ジョブズの相棒であるスティーブ・ウォズニアック(通称ウォズ)が作った。「情報は無料であるべき権力は忌避すべき」という価値観を持ってた天才。とにかくめっちゃ良いヤツ。
例えば、アタリというゲーム会社で「ブレイクアウト」と呼ばれるブロック崩しゲームをヒットさせる。この背景にはウォズニアックの働きは欠かせなかった。ただウォズニアックに黙って、ジョブズはそのボーナスをちょろまかす。
(2巻)
でもウォズニアックは「ジョブズはお金が必要だったんじゃないのかな…正直に言ってくれれば良かったのに」と責めるどころか、別の部分でショックを受けてる。
そのウォズニアックと対比的なのが、今作の主人公であるスティーブ・ジョブズ。同じ苗字にも関わらず、ここまで人間性が異なるか!?というぐらい、ジョブズは人間的にちょっとアレ。そこが良くも悪くも見所。
とにかくスティーブ・ジョブズは口が悪い。あのスマートなルックスからは想像が付かないぐらいに口が汚い。
(3巻)
例えばアップルの社員に対して、「クソみたいなデザインだな」と一刀両断。社員はビックリして聞き返す。そしたら更に続けて「クソみたいなデザインだなって言ったんだよ」とトドメを刺す。別に聞こえなかったから社員は聞き返したんじゃないよ。
ただ1970年代1980年代の時期で、社長とは言えジョブズはなんだかんだ若かった。だからかと思いきや、実は死ぬまで変わってない。ウォルター・アイザックソンとのインタビューで「何故そんなトゲトゲしい態度をとっていたのか?」と訊かれる。
(1巻)
ジョブズの答えが「周りが大バカ野郎だったのは事実だからね…ふふ」。
コイツ全然成長してねー!
あと記憶も悪い。社員が出したアイデアを一度クソミソに否定するものの、数週間後には「このアイデア良いわー」とか言って平気で採用。THEブラック企業。助けて弁護士センセー(´;ω;`)ウッ…
まだ口が悪いだけだったら救いようがあるんですが、ジョブズは態度も横柄で手に負えない。
アタリと呼ばれるゲーム会社に入社する時も、アポなしで突入。
(1巻)
何故か「ここで働かせてもらおうと思って…」と入社前提で社長と面接面談。
しかも全然風呂に入ってない。受かる気あるんか?そしてその理由が「ベジタリアンだから身体は汚れません」という意味不明な理屈。逆にここまでの横柄さは、最近の就活生に必要なぐらい?
(2巻)
他の企業のお偉いさんに対して、プレゼンや商談をする時は、足を机の上に投げ出してタメ口全開。しかも、やっぱりジョブズは風呂に入ってないから足が汚い。せめて靴ぐらい履けよ。
ただ仕事だけじゃなくてプライベートでも横柄。ジョブズが若い頃、付き合ってる彼女がいた。その彼女が妊娠。喜び勇んでジョブズに伝えに行く彼女。ただジョブズからまさかの一言を浴びせられる。
(3巻)
「それ…俺の子なの…?」。
これ妊娠が分かった彼女に一番言ったらアカンやつー!
この時の奥さんの唖然とした表情がヤバい。
ただAppleのカリスマ経営者。まだまだ妊婦さんである彼女に対する攻撃は止まりません。
「産みたいなら産めばいい、ただそこに俺を巻き込むな!」
「俺が自分の子供だって認めてないんだから俺の子供じゃない!」
さすがの男の俺でも引く発言!(笑)
ここまで畳み掛けると清々しさすら感じる。
ただ横柄や傲慢さを通り越して、意味不明な言動をとることがちょいちょいある。
ジョブズが興したアップルという企業が、自分がいなくてもどんどん回っていく。そこに何故か嫉妬したジョブズ。
(3巻)
そこで何を思ったかジョブズは、唐突に会社の便器に足をツッコむ。社員は止めるものの、「見りゃ分かるだろ!便器で足を洗ってんのさ!ストレス解消になるんだよ!」と意味不明な供述。見ても分からんから訊いてんねん。
むしろトイレの便器に足を突っこめば、却ってストレス溜まりそうですけどね。よしんば自分専用の便器だったらいざ知らず、不特定多数の人間が使ってる会社の便器。ひたすら理解に苦しむ。
まさにTOTOさんもビックリ。ここまで来ると、ジョブズには恐怖感しか覚えない。こんな異常者がアメリカを代表するトップ企業であり、高年収の社長を務めてたんだからスゴい。
こんなスティーブ・ジョブズですが、実は結構コンプレックスを抱えてた。最たる例が、生みの親の顔を知らない。ジョブズは里親に育てられてた。それが後世まで「心の痛み」として抱えてた。こういう過去もあったからこそ、自分の子供を認知するのがかなり遅れたのかも。
こんなに他人に対して横柄な態度を取ってた人間が、まさかのピュアボーイだったのは意外。でもだからこそ、他人に対して心の壁(ATフィールド)を築いていたのかも知れない。ツンケン虚勢を張ってる人に限って、結構メンタルが弱い。それはジョブズも同じ。
その心の弱さが垣間見える一例が、ウォズニアックとのパパとのクダリ。基本的に、製品を作ってるのはウォズ。あくまでジョブズは指図してるだけ。
そこでウォズの父親が疑問を抱く。そして「何も働いてないお前と息子が儲けが折半っておかしくね?」とジョブズに詰め寄る。
(2巻)
そしたら普通に泣くジョブズ。お前は子供か。どんだけメンタル弱いねん。こういうタイプの人間は案外核心をつかれると弱い。
とにかくスティーブ・ジョブズが破天荒すぎる。ワンマン経営者を通り越して、人間としてワンマン。ただだからこそ面白い。伝記漫画としてはこれ以上の逸材・素材はいないはず。エピソードだけで90点以上に採点してもいいぐらい。
ただ、ジョブズの性格や人となりを知ってたら、どんだけ能力があってもAppleには転職したくない。もしAppleの求人票があれば、条件欄に「無敵メンタル必須」とか書かれてそう。
それぐらいジョブズの言動がヒドい。またこのブログでは書けないような、素行の悪いことばっかしてる。いろいろ小細工して無料で電話したり、なんやかんや。
日本ではスマートすぎる経営者として取り上げられてますが、この漫画の中のジョブズは、それとは真逆の人間としてアレすぎるクソッタレがいる。よくこんな奴がiPhoneやiPadを生み出したよなと…。
でも、それゆえにきっと作者のヤマザキマリも楽しんで描いてそう。便器に足を突っ込んでるクダリとか、一体どういう気持で描いてたんだろう。それも想像しただけでも笑う。本当ここまで対象人物をあけすけに描いた伝記モノは珍しい。是非一度読んで笑って欲しい。
◯展開…★3.5◯テンポ…★4
◯キャラ…★5◯画力…★3
◯大人買い…★4.5
◯おすすめ度…88点!!!!
今日2月24日は故スティーブ・ジョブズの誕生日だったということで無理くり関連付けてレビュー。
スティーブ・ジョブズのあらすじ
タイトルから想像できるように、主人公はスティーブ・ジョブズ。iPhoneで有名なアップルという企業のカリスマ社長。・その半生を綴ってる。ただ厳密には自伝書or自伝マンガではない。
ウォルター・アイザックソンというアメリカの作家が取材したジョブズの伝記本をベースに、『テルマエ・ロマエ』で知られるヤマザキマリがマンガ化してる。だから一方的に、スティーブ・ジョブズのスゴさを喧伝する内容ではない。
現在は3巻まで発売されてるんですが、内容的には学生時代からアップルを起業してパソコンのMacintoshを作るあたりまで。おそらく今後は2011年に亡くなるまで連載は続きそう。

例えば、そのMacは自宅の小屋で作られたと言われてますが、それは事実。ジョブズの相棒であるスティーブ・ウォズニアック(通称ウォズ)が作った。「情報は無料であるべき権力は忌避すべき」という価値観を持ってた天才。とにかくめっちゃ良いヤツ。
例えば、アタリというゲーム会社で「ブレイクアウト」と呼ばれるブロック崩しゲームをヒットさせる。この背景にはウォズニアックの働きは欠かせなかった。ただウォズニアックに黙って、ジョブズはそのボーナスをちょろまかす。

でもウォズニアックは「ジョブズはお金が必要だったんじゃないのかな…正直に言ってくれれば良かったのに」と責めるどころか、別の部分でショックを受けてる。
そのウォズニアックと対比的なのが、今作の主人公であるスティーブ・ジョブズ。同じ苗字にも関わらず、ここまで人間性が異なるか!?というぐらい、ジョブズは人間的にちょっとアレ。そこが良くも悪くも見所。
口が悪すぎるジョブズ
とにかくスティーブ・ジョブズは口が悪い。あのスマートなルックスからは想像が付かないぐらいに口が汚い。

例えばアップルの社員に対して、「クソみたいなデザインだな」と一刀両断。社員はビックリして聞き返す。そしたら更に続けて「クソみたいなデザインだなって言ったんだよ」とトドメを刺す。別に聞こえなかったから社員は聞き返したんじゃないよ。
ただ1970年代1980年代の時期で、社長とは言えジョブズはなんだかんだ若かった。だからかと思いきや、実は死ぬまで変わってない。ウォルター・アイザックソンとのインタビューで「何故そんなトゲトゲしい態度をとっていたのか?」と訊かれる。

ジョブズの答えが「周りが大バカ野郎だったのは事実だからね…ふふ」。
コイツ全然成長してねー!
あと記憶も悪い。社員が出したアイデアを一度クソミソに否定するものの、数週間後には「このアイデア良いわー」とか言って平気で採用。THEブラック企業。助けて弁護士センセー(´;ω;`)ウッ…
態度が悪すぎるジョブズ
まだ口が悪いだけだったら救いようがあるんですが、ジョブズは態度も横柄で手に負えない。
アタリと呼ばれるゲーム会社に入社する時も、アポなしで突入。

何故か「ここで働かせてもらおうと思って…」と入社前提で社長と面接面談。
しかも全然風呂に入ってない。受かる気あるんか?そしてその理由が「ベジタリアンだから身体は汚れません」という意味不明な理屈。逆にここまでの横柄さは、最近の就活生に必要なぐらい?

他の企業のお偉いさんに対して、プレゼンや商談をする時は、足を机の上に投げ出してタメ口全開。しかも、やっぱりジョブズは風呂に入ってないから足が汚い。せめて靴ぐらい履けよ。
ただ仕事だけじゃなくてプライベートでも横柄。ジョブズが若い頃、付き合ってる彼女がいた。その彼女が妊娠。喜び勇んでジョブズに伝えに行く彼女。ただジョブズからまさかの一言を浴びせられる。

「それ…俺の子なの…?」。
これ妊娠が分かった彼女に一番言ったらアカンやつー!
この時の奥さんの唖然とした表情がヤバい。
ただAppleのカリスマ経営者。まだまだ妊婦さんである彼女に対する攻撃は止まりません。
「産みたいなら産めばいい、ただそこに俺を巻き込むな!」
「俺が自分の子供だって認めてないんだから俺の子供じゃない!」
さすがの男の俺でも引く発言!(笑)
ここまで畳み掛けると清々しさすら感じる。
もはや行動が意味不明なジョブズ
ただ横柄や傲慢さを通り越して、意味不明な言動をとることがちょいちょいある。
ジョブズが興したアップルという企業が、自分がいなくてもどんどん回っていく。そこに何故か嫉妬したジョブズ。

そこで何を思ったかジョブズは、唐突に会社の便器に足をツッコむ。社員は止めるものの、「見りゃ分かるだろ!便器で足を洗ってんのさ!ストレス解消になるんだよ!」と意味不明な供述。見ても分からんから訊いてんねん。
むしろトイレの便器に足を突っこめば、却ってストレス溜まりそうですけどね。よしんば自分専用の便器だったらいざ知らず、不特定多数の人間が使ってる会社の便器。ひたすら理解に苦しむ。
まさにTOTOさんもビックリ。ここまで来ると、ジョブズには恐怖感しか覚えない。こんな異常者がアメリカを代表するトップ企業であり、高年収の社長を務めてたんだからスゴい。
コンプレックスの裏返し?
こんなスティーブ・ジョブズですが、実は結構コンプレックスを抱えてた。最たる例が、生みの親の顔を知らない。ジョブズは里親に育てられてた。それが後世まで「心の痛み」として抱えてた。こういう過去もあったからこそ、自分の子供を認知するのがかなり遅れたのかも。
こんなに他人に対して横柄な態度を取ってた人間が、まさかのピュアボーイだったのは意外。でもだからこそ、他人に対して心の壁(ATフィールド)を築いていたのかも知れない。ツンケン虚勢を張ってる人に限って、結構メンタルが弱い。それはジョブズも同じ。
その心の弱さが垣間見える一例が、ウォズニアックとのパパとのクダリ。基本的に、製品を作ってるのはウォズ。あくまでジョブズは指図してるだけ。
そこでウォズの父親が疑問を抱く。そして「何も働いてないお前と息子が儲けが折半っておかしくね?」とジョブズに詰め寄る。

そしたら普通に泣くジョブズ。お前は子供か。どんだけメンタル弱いねん。こういうタイプの人間は案外核心をつかれると弱い。
スティーブ・ジョブズの総合評価
とにかくスティーブ・ジョブズが破天荒すぎる。ワンマン経営者を通り越して、人間としてワンマン。ただだからこそ面白い。伝記漫画としてはこれ以上の逸材・素材はいないはず。エピソードだけで90点以上に採点してもいいぐらい。
ただ、ジョブズの性格や人となりを知ってたら、どんだけ能力があってもAppleには転職したくない。もしAppleの求人票があれば、条件欄に「無敵メンタル必須」とか書かれてそう。
それぐらいジョブズの言動がヒドい。またこのブログでは書けないような、素行の悪いことばっかしてる。いろいろ小細工して無料で電話したり、なんやかんや。
日本ではスマートすぎる経営者として取り上げられてますが、この漫画の中のジョブズは、それとは真逆の人間としてアレすぎるクソッタレがいる。よくこんな奴がiPhoneやiPadを生み出したよなと…。
でも、それゆえにきっと作者のヤマザキマリも楽しんで描いてそう。便器に足を突っ込んでるクダリとか、一体どういう気持で描いてたんだろう。それも想像しただけでも笑う。本当ここまで対象人物をあけすけに描いた伝記モノは珍しい。是非一度読んで笑って欲しい。
◯展開…★3.5◯テンポ…★4
◯キャラ…★5◯画力…★3
◯大人買い…★4.5
◯おすすめ度…88点!!!!