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エリアの騎士 1巻~44巻 ネタバレ感想

『エリアの騎士』1巻から44巻までの感想。少年マガジン(講談社)で連載中のサッカー漫画。原案は伊賀大晃、作画は月山可也。
エリアの騎士の最新45巻が今日3月17日に発売されるのでレビュー。

エリアの騎士のあらすじ


主人公は、逢沢駆(あいざわ・かける)。駆の兄である傑(すぐる)はU-15日本代表の10番。天才司令塔。その兄・傑の影に隠れがちだった逢沢駆は、サッカー選手として自信を失っていた。

ただ兄・傑の「司令塔がピッチの王様だとすれば、ストライカーは騎士だ!俺には…日本のサッカーは勇猛果敢な騎士が必要なんだ」という言葉に、駆は自信を再び取り戻す。

しかし、そんな矢先、二人は交通事故に遭ってしまう。兄・傑は即死。主人公・駆は鉄パイプに心臓を貫かれる。そこで取られたのが兄・傑の心臓を駆に移植するという措置。

エリアの騎士21巻 逢沢駆・兄の心臓で変革? (21巻)
心臓を移植された駆は時たま、兄が乗り移ったかのように覚醒。バトル漫画の王道的要素がチョピっとだけなくはない。この駆は比較的好感が持てるキャラクター。

だからストーリーとしては、兄の心臓だけではなく遺志や思いを受け継いだ駆が日本代表を目指すみたいな展開。
序盤では江ノ島高校の荒木竜一、監督・岩城鉄平ともに、ライバルの鎌倉学園の世良右京などを蹴散らしつつ全国制覇を目指すという展開。

サッカーの試合描写は上々


エリアの騎士を最初に読んだ時は「どうかな~」と思ったんですが、色んなサッカー漫画と見比べてるうちに、サッカー描写が地味に上手い。

エリアの騎士8巻 サッカー描写 (8巻)
主人公・駆のドリブルで相手の辻堂学園の選手を抜く場面。ターン具合や驚きの表情など、シンプルで良い。

エリアの騎士34巻 サッカー描写(ドリブル) (34巻)
東京蹴球学園戦ではアルゼンチン人ディフェンダー相手に、やはりドリブルで抜き去る駆。足でボールをチョンと当てて方向を変えるコマをドン、驚きの表情、そして全体の俯瞰のコマ。流れにテンポ感があっていい。

エリアの騎士30巻 サッカー描写 セリフ少なくコマ割りで見せる (30巻)
セリフが一切なくて、コマ割りだけで読ませてくる描写があって、良い意味でページいっぱいに大ゴマも多用してる。

エリアの騎士43巻 サッカー描写(構図) (43巻)
個人的にはネット越しにゴールが決まる場面の、こういう構図が割りと好き。リアルのサッカーの試合で見れそうで見れない。ボールもボンと大きく描くことで迫力がある。

全国優勝以降の展開が微妙


全国大会で東京蹴球学園に勝利して優勝を果たした以降の、エリアの騎士はなんか微妙。

主人公の駆は16歳(高校1年生?)でありながら、プロのJリーガーになるんですが、J2の湘南ブルーインパルスに入団。元日本代表のベテランフォワード・城島豊をベースにストーリーは進行するものの、展開に力強さは欠ける。例えば、世良右京だったらユトレヒト、倉知快人だったらフランクフルトに海外のチームに入団。そういう元ライバルの選手たちと比較すると、スケール感がない上、華もあまりにもない。

そもそも全国大会で優勝してしまった以上、作者としてはこの後の高校生としての展開が描きづらいはず。また同じような地区大会の予選から描いて、一試合一試合まどろっこしいことをやるのか?って話ですから。もう一気に5年後あたりまで時間軸を進めりゃあいいんでしょうが、展開がだらだらしてる印象は拭えない。

エリアの騎士の総合評価


『エリアの騎士』は良くも悪くも、フツーのサッカー漫画。例えば、江ノ島高校の監督だった岩城鉄平は後にJリーガーになる。こういった新鮮なアプローチは多いものの、「今までになかったサッカー漫画」とまで評価できる要素は少ない気がする。

ただし7割8割の読者がちゃんと満足できるサッカー漫画であることに違いもない。確かエリアの騎士の発行部数は700万部800部程度だった気がしますが、それを裏付けるクオリティーの高さがあるのも事実だと思う。

でも気になるのは、やはりエリアの騎士の最近の展開。
エリアの騎士44巻 クウェート代表・五輪?Jリーグ? (44巻)
U-22の五輪日本代表ではクウェートが相手なんですが、既に全国大会の東京蹴球学園戦では、ブラジル代表のレオナルド・シルバを蹴散らしてる。クウェート代表は決して弱くないですが、今更中東?ってのはありますよね。

バトル漫画でいうところのインフレ問題に近い。ついさっきこれだけ強い敵を倒したのに、今この程度の敵に苦戦してんの?的な。

またクラブチームでも、海外の二部リーグだったらまだ理解できますが、まさかのJ2。湘南ブルーインパルスという弱小チームですら、ほとんど活躍できてない主人公の駆。さすがにショボくなりすぎ。しかも38巻以降の展開がダラダラしてて、結局湘南で駆はどうしたいの?

やはりスポーツ漫画は一度頂点を極めちゃった後の、次の展開を描くのが難しい。もっと言えば、ハードルをどうやって上げ下げていくか。それに苦しんでるのは、エリアの騎士もそのご多分にもれずという感じ。

現在のエリアの騎士は、スポーツ漫画としての王道的な面白さは少ない。もっと大胆に、かつサッサとステップアップしてほしい。弱いのはリアルのJリーガーだけで十分です。

◯展開…★3.5◯テンポ…★4.5
◯キャラ…★3.5◯画力…★4
◯全巻大人買い…★4

◯おすすめ度…84点!!!!


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