新宿スワン[37](新)／「帰ろう…タツヒコ」

10/07/2013　23:23

新刊

とうとう今日発売のヤンマガで最終回を迎えてしまった『新宿スワン』の最新刊です。オチとしては湿っぽく終わったのかな。「まー…うん」という感じ。

決して悪くはないですが、結局渋谷自体は浄化されちゃったわけで残された側は「これからオレたちが真虎らの遺志を継いでスカウト頑張るぜー！」とはならんですよねぇ。

喪失感というか寂寞感というか、すごくモヤっとしたまま終わりを迎えた印象。基本的なストーリーとしては真虎の復讐劇になっていたので、正直後半は新宿という街やスカウトという仕事はもはやどうでも良くなってたのも大きい。時代の移り変わりが早いと言ってしまえばそれまでですが、「スカウト行為」自体に対する規制が思いのほか素早くて作者的にも美しく幕切れを切れなかったのかなと好意的な解釈。

どうしても現実と漫画をリンクさせて「浄化されたキレイな新宿」に結びつけちゃうと、それこそ天野修善にしろ真虎にしろ、「じゃあ一体何のために戦ってきたのか」という根本的な疑問にもブチ当たる。これまでの復讐劇は何だったんだという虚しさばかりがこみ上げてくる。

いや真虎の存在と共に新宿も消えた、というオチと解釈したら、むしろ美しいオチではあるか。とりあえず37巻の中身をレビュー。

上海編。天野修善が上海に裏金として貯めていた300億円を日本に持ち込もうと画策しているのを、真虎と日本の刑事・桜井が止めようとするところの続き。

真虎と共に上海に渡った灰沢のアジトへタツヒコと森長が襲撃。そして森長VS灰沢が始まる。灰沢の壮絶な過去が明らかになるんですが、やはり想像以上に修羅場を踏んできてる。

「認識したのは弱者は既に屍。喰らうための道具」などどうのこうの、とにかく自分は常に強者の立場だった的なことを強調されている。そんだけ色々とやってきたってことです。枯れる前に花がある内にオレが葬ってやるというのがモットー。恐ろしすぎます。

素手でケンカを吹っかけてきた森長を見る表情が、その全てを物語ってる。命余裕しゃくしゃくでニター。またオレは花を散らしてしまうのか的な。

…が、森長のワンパンでまさかの心がポッキリと折れる灰沢。めっちゃ悪人っぽく灰沢を描いておいて「この扱いかよw」っていう。圧倒的に強い森長にもさすがに笑った。ただ画像の拳はもっと強く握りしめてる感じがあると良い。灰沢ももっとガクブルさせた方が面白かった。どこか少しまだ余裕ぶってるのが腹立つ。

一方、真虎は天野修善とかち合う。真虎の計画は全部筒抜けで、船のコンテナにはブタの貯金箱しか入ってなかった。船は実はダミー。桜井も含めてダマされる。真虎は「思わず殺せよ負けだ」と降伏宣言するんですが、天野修善は「オレの影である以上オレより前にオマエは進めない」などと言って真虎を生かす。

結果、心が完全にへし折られた真虎は完敗。あとから現れたタツヒコに向かって「帰ろう」と涙を流す。それがタイトルの発言につながるわけです。

って感じなんですけど、天野とのやり取りの中で「オレがテメーが登りつめた所で…」とポロッと本音を漏らす。この時は苦し紛れの言い訳にしか聞こえないんですが、あとあとこれが真意だったことが分かります。頂点に登りつめた時に天野をやっちゃいます。

真虎は自分たちの計画が天野に筒抜けになっていることを知ってた。でも行動に出なかった。何故か。結局、上海は「天野が登りつめた頂点」ではないわけです。天野を見逃したのも真虎の計画の一つ。

…ってな感じの詳しい内容は次巻の最終巻になります。灰沢のクダリはちょっとヤンマガで見逃してたんですが、まさかあんなショボチンだったとはｗとりあえずヤクザ漫画好きにはオススメです。

【このマンガのオレ流評価】
◯展開力－★★★★☆
◯テンポ－★★★★☆
◯キャラ－★★★★☆
◯作画力－★★★★☆
◆80点!!－新宿スワン(37) (ヤングマガジンコミックス)

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