軍鶏 (漫画) 1巻~30巻 感想| 闘いに救いの道を求める元少年Aの闇が深すぎる
- 11/28/2013 08:00
『軍鶏』1巻から30巻までのネタバレ感想。イブニングで連載されてる格闘漫画。
作者はたなか亜希夫。序盤は橋本以蔵という方が原作を担当してたんですが、24巻あたりから作画のたなか亜希夫が一人で全てを担当。それまでは休載も多かった印象ですが、たなか亜希夫単独になってからは比較的順調に単行本がリリースされるようになった?
きっと色々とイザコザがあったんでしょうね(笑)
(23巻)
主人公の成嶋リョウは、ほぼバトルジャンキー。闘うことでしか自分の生きる意義を見出だせない。「ギリギリの先には、女の股ぐらより気持ちいいことがあるんだぜ」というセリフから察してもらえると思いますが、基本的に女の子が好んで見るような漫画ではない。
とにかくヘビーな内容。こういう格闘漫画でありがちな闇社会的な部分もたくさん出てくるんですが、そもそも主人公の成嶋リョウが深すぎる闇を抱えてる。何故なら少年時代に両親を殺害した過去がある。だから寝ても覚めてもリングで戦ってても、両親の幻影が現れて自分を責め立てる。この描写が一見するとホラーにしか見えない。だから精神的にズシンと来るイヤーな重さがある。
(12巻)
そのリョウの闇が他人に感染して、どんどん周りが不幸になっていく。例えば自分の妹は薬物中毒者になって、ほぼ「人間やめました」状態。画像はこれでもまだ軽い方。他にも菅原直人というライバルは寝たきりでほぼ下半身不随。最近だと同じ少年院で因縁があった在日韓国人がヤクザの抗争で死んだり、その度にリョウの闇も更に濃くなっていく。読んでるコッチもどんどん気分が沈んでいく。
でも、このリョウを「救ってくれるんではないか」というキャラも一度だけ現れた。
(17巻)
それが高原東馬(トーマ)。何故か元プロのバレーダンサー。身体能力も格闘センスも抜群なんですが、「僕は生まれてから一度も人を殴ったことがないんです」と言うぐらい天使みたいな男。このトーマが親族の力を借りて、番竜会という空手家たちを集めて『グランドクロス』という大会を開く。そして、リョウに戦いを挑む。
何故か。上記に書いた菅原直人とリョウとの一戦を見て、「救ってくれ」と聞こえたからだそう。まさに天使。読んでるコッチも思わず期待した。リョウをここまでクソみたいな感じに描いたのも、ラストのラストで救うがための壮大なフリだと感じたから。
ただ不可能だった。二人はグランドクロスの決勝戦でリング上で闘いつつも、別世界で語り合うみたいな演出がある。その時のリョウの心の叫びが切なすぎて、また改めて闇の深さに愕然とさせられる。
(27巻)
「こんな俺でも救われると言ってくれ!」とリョウが懇願(トーマを試してる)場面ですが、体が砂のようにこぼれ落ちる描写が不気味すぎ。結果リョウの闇にトーマも呑み込まれて、最終的には廃人と化してしまう。だから、つくづく『救いようがない』漫画なので人を選ぶと思う。個人的にはそこまで肌に合わず。
で、肝心の格闘シーンですが猿渡哲也の『TOUGH(タフ)』とクオリティーは負けないぐらい高い。描写やコマ割りやキャラクターの動きなどが丁寧。だから読みやすくて、それなりに迫力もある。
(27巻)
上記で説明したリョウとトーマと闘い。「打撃技VS投げ技」のような展開で読ませてくれる。
(25巻)
同じくグランドクロスから番竜会の三號。巨大なシルバータイガーと闘ってるという比喩表現。このトラの描写力がハンパない。内容が内容だから画力の点でどうなのかと思ってしまいますが、むしろ真逆。見てもらえば分かるように、かなり線なども繊細・緻密。
(22巻)
画像は、グランドクロスが終わるまでリョウの師匠的な存在だった天源寺が殴られる場面。見所はホッペのグニャリ具合。殴られた衝撃が伝わって、左にそれが抜けていく過程がそこから読み取れる。殴った拳だけはガッチリ描かなくても良かったのかなと思いますが、画力はピカイチ。
最新第31巻
が発売されるということで、とりあえず最近までの流れを軽く説明。グランドクロスが終了して、何もすることがないリョウ。そこへサキという少女と遭遇。行きずりで何故か仲良く(?)なる。リョウに自分の娘を拉致られたと思ったサキの、これまた闇を抱えた危ない父親が何でも屋「どぶ組」に依頼。
(29巻)
ちなみに画像のコイツラ。キャラクターがムダに立ちすぎっていう風貌ですが、コイツラも危なめ。ただこれまでと違って、若干お笑いというか明るめの展開なので読みやすいかも。
でも基本的には「よくここまで割り切ってクソみたいな世界を描いたな…」という空気感の漫画。だから、かなり人を選ぶ漫画。女の子はまず読みたがらないはず。ただ逆に言えば、男であればハマる人はかなりハマる漫画かも。
◯展開力-★★★☆☆+
◯テンポ-★★★☆☆+
◯キャラ-★★★☆☆+
◯作画力-★★★★★
◯点数-82点!!
作者はたなか亜希夫。序盤は橋本以蔵という方が原作を担当してたんですが、24巻あたりから作画のたなか亜希夫が一人で全てを担当。それまでは休載も多かった印象ですが、たなか亜希夫単独になってからは比較的順調に単行本がリリースされるようになった?
きっと色々とイザコザがあったんでしょうね(笑)
あらすじ

主人公の成嶋リョウは、ほぼバトルジャンキー。闘うことでしか自分の生きる意義を見出だせない。「ギリギリの先には、女の股ぐらより気持ちいいことがあるんだぜ」というセリフから察してもらえると思いますが、基本的に女の子が好んで見るような漫画ではない。
ヘビーすぎる暗い内容
とにかくヘビーな内容。こういう格闘漫画でありがちな闇社会的な部分もたくさん出てくるんですが、そもそも主人公の成嶋リョウが深すぎる闇を抱えてる。何故なら少年時代に両親を殺害した過去がある。だから寝ても覚めてもリングで戦ってても、両親の幻影が現れて自分を責め立てる。この描写が一見するとホラーにしか見えない。だから精神的にズシンと来るイヤーな重さがある。

そのリョウの闇が他人に感染して、どんどん周りが不幸になっていく。例えば自分の妹は薬物中毒者になって、ほぼ「人間やめました」状態。画像はこれでもまだ軽い方。他にも菅原直人というライバルは寝たきりでほぼ下半身不随。最近だと同じ少年院で因縁があった在日韓国人がヤクザの抗争で死んだり、その度にリョウの闇も更に濃くなっていく。読んでるコッチもどんどん気分が沈んでいく。
トーマというライバル
でも、このリョウを「救ってくれるんではないか」というキャラも一度だけ現れた。

それが高原東馬(トーマ)。何故か元プロのバレーダンサー。身体能力も格闘センスも抜群なんですが、「僕は生まれてから一度も人を殴ったことがないんです」と言うぐらい天使みたいな男。このトーマが親族の力を借りて、番竜会という空手家たちを集めて『グランドクロス』という大会を開く。そして、リョウに戦いを挑む。
何故か。上記に書いた菅原直人とリョウとの一戦を見て、「救ってくれ」と聞こえたからだそう。まさに天使。読んでるコッチも思わず期待した。リョウをここまでクソみたいな感じに描いたのも、ラストのラストで救うがための壮大なフリだと感じたから。
ただ不可能だった。二人はグランドクロスの決勝戦でリング上で闘いつつも、別世界で語り合うみたいな演出がある。その時のリョウの心の叫びが切なすぎて、また改めて闇の深さに愕然とさせられる。

「こんな俺でも救われると言ってくれ!」とリョウが懇願(トーマを試してる)場面ですが、体が砂のようにこぼれ落ちる描写が不気味すぎ。結果リョウの闇にトーマも呑み込まれて、最終的には廃人と化してしまう。だから、つくづく『救いようがない』漫画なので人を選ぶと思う。個人的にはそこまで肌に合わず。
格闘描写は秀逸
で、肝心の格闘シーンですが猿渡哲也の『TOUGH(タフ)』とクオリティーは負けないぐらい高い。描写やコマ割りやキャラクターの動きなどが丁寧。だから読みやすくて、それなりに迫力もある。

上記で説明したリョウとトーマと闘い。「打撃技VS投げ技」のような展開で読ませてくれる。

同じくグランドクロスから番竜会の三號。巨大なシルバータイガーと闘ってるという比喩表現。このトラの描写力がハンパない。内容が内容だから画力の点でどうなのかと思ってしまいますが、むしろ真逆。見てもらえば分かるように、かなり線なども繊細・緻密。

画像は、グランドクロスが終わるまでリョウの師匠的な存在だった天源寺が殴られる場面。見所はホッペのグニャリ具合。殴られた衝撃が伝わって、左にそれが抜けていく過程がそこから読み取れる。殴った拳だけはガッチリ描かなくても良かったのかなと思いますが、画力はピカイチ。
軍鶏の総合評価
最新第31巻

ちなみに画像のコイツラ。キャラクターがムダに立ちすぎっていう風貌ですが、コイツラも危なめ。ただこれまでと違って、若干お笑いというか明るめの展開なので読みやすいかも。
でも基本的には「よくここまで割り切ってクソみたいな世界を描いたな…」という空気感の漫画。だから、かなり人を選ぶ漫画。女の子はまず読みたがらないはず。ただ逆に言えば、男であればハマる人はかなりハマる漫画かも。
◯展開力-★★★☆☆+
◯テンポ-★★★☆☆+
◯キャラ-★★★☆☆+
◯作画力-★★★★★
◯点数-82点!!