神の雫| ソムリエマンガの金字塔?幻のワインを巡る「舌」の攻防
- 02/05/2014 08:00
神の雫40巻までの既刊レビュー。ワインのソムリエをテーマにしたグルメマンガ。2009年だかにKAT-TUNの亀梨和也で実写ドラマ化されたことも。最新41巻が今月末頃
に発売されるので記事化。
簡単にあらすじを紹介しておくと、主人公の神咲雫(かんざき・しずく)が父・豊多香(ゆたか)が遺した幻のワイン『神の雫』を巡って、ライバル遠峰一青(とおみね・いっせい)とバトルを繰り広げるという話。
バトルの中身は、父・豊多香の遺書に書かれた問題を解くというもの。その問題は長ったらしく書かれた情景描写の文章を聞いて、それが何のワインを示しているかを当てる。十二使徒と呼ばれるワインが12本、つまり12問ある。その正否を判定するのが、父・豊多香の親友・土肥ロベールという爺さん。
ワインを飲んだ時のキャラクターたちのリアクションが、とにかく大げさ。時には笑ってしまうことも。
例えばヒロインの見習いソムリエ・紫野原みやびがワインを飲んだ時は…
(1巻)
周りにお花畑が現れる。よくあるっちゃよくある演出。
(5巻)
主人公・神咲雫には羽が生えちゃいます。そこそこキレイな描写。
ただちょいちょい気になる描写も。神咲雫があるワインを飲んだ時に、ダビデ像が目の前に現れたそう。ただダビデ像って、例のフルに開チンしちゃってる像だよなー。ワインを飲んでるのに大丈夫か?と思ってたら…
(26巻)
余裕で大丈夫でしたーーっ!!( ´∀`)bグッ!!!
見事すぎる構図!!!これぞまさに『神の構図』!!そこまであからさまに隠すんだったら、何故そもそもダビデ像を思いついちゃったんだっていう(笑)
あと6巻も特にヒドい。異なるワインを試飲するごとに、色んな情景が目の前に現れる。その頻度が目まぐるしい。一回目はオーケストラ(自分が指揮者)、次は森の中に巨大な白亜の城、ラストは妖艶なクレオパトラが自分を誘惑。
ここまで来ると想像力では片付けられない。言葉は悪いですが、軽くラリってるとしか思えない。
(36巻)
他のキャラクターたちも目をつぶると「見えてきた」らしいんですが、絶対ポリフェノール以外にも変なん入ってるやん。傍からは普通に危ない集団にしか見えない。
十二使徒と呼ばれるワインの問題を出すとき、やたらその説明描写が長い。
(4巻)
この画像は半ページ分。もちろん丸々一ページが使われてる。ただし、その分量がハンパない。使徒によっては、10数ページとかもザラ。週刊モーニングで連載されてるので、使徒の説明だけで丸々潰れてることになる。こんだけ長ったらしいと、もう最初の方で何を言ってたか忘れてるっちゅーねん。
(38巻)
だからキャラクターも思わずアクビ。
アクビをしたいんはコッチやっちゅーねん。それぐらい、まあ退屈。
で、どうやって勝負の決着をつけるかといえば、口頭による『説明・表現』。まあ、これもいちいち長ったらしい。
(8巻)
チンプンカンプンとは、まさにこのこと。34巻では、輪廻転生や森羅万象など抽象的・観念的すぎることを語りまくり。「え?これワインのマンガでしたよね?」状態。
(27巻)
ライバル遠峰一青に至っては自分の世界へ没入。そしてナルシシズム的な表現を展開。いちいち鬱陶しく、もはや「お前は自分に酔ってるだけやろ」っていう。これを読者は延々と聞かされるですが、まさに反吐が出る。
もはや『語り』の勝負。いかにそれっぽい理屈で、もっともらしい説得力ある内容を表現できるか。舌ではなく、口先の勝負。
だから神咲雫が勝っても遠峰一青が勝っても、毎回いちいち腑に落ちない。明確な基準やルールがない勝負だから、正解が発表されてもどうしてもそれに『納得感』がない。目に見えないから、もうすぐどっちが勝つか負けるか分からないので『ハラハラ感』もない。
(20巻)
思わずヒロインの紫野原みやびも「勝ったかどうか分からない」状態。せめてマンガの世界だけでは分かっとけよ。
最終的には、あるソムリエが元も子もないことを断言しちゃう。
(18巻)
「ワインの表現なんて滅多にぴったりくるもんじゃないけど」
結局みんな雰囲気で喋ってんのかーい!だったら何故神咲雫にしろ遠峰一青にしろ、延々とペチャクチャ喋ってんねんっていう。喋れば喋るほど、ピッタリくる表現はできんやろ。
本当笑っちゃう。良くも悪くも、ムダにテンションが上がってしまった。
ストーリーの軸はシンプルで、神の雫という幻のワインを巡っての展開。それ自体は特に否定しない。ただ『競技性』を持ち込んだのが失敗。
主人公・神咲雫とライバル遠峰一青がほぼ一騎打ちするわけですが、勝った負けたのすったもんだが視覚的に意味不明。どっちが持ち込んだワインが正解で不正解だったのか、読者が分かりうるはずがない。多分、先に答えのワインが用意されていて、そのワインを「どうやって見つけるか?」という展開だったらアリ。
せめてマンガの中で勝ち負けの基準がハッキリ表現できてればいいが、それがない。ヒロイン自体が分からない状態。だから、どうしても感情移入して、そのバトルに「熱くなる」ことができない。
二人の勝負も長ったらしい口頭によるセリフで大半が占められる。どうしても全体的なテンポ感は悪くなる。一応作画のオキモト・シュウの画力はそこそこ。ワインを飲んだ時の演出は、そこそこ魅せる。特に女性は好きそうな描写ではあるものの、基本、終始退屈。特に後半にかけてのワンパターン・硬直的な展開は異常。猛烈に飽きる。
とりあえず4・5巻分ぐらい読めば十分の漫画。

◆Amazon.co.jp:神の雫 (モーニングKC)
◯70点!!!!
◯展開★2◯テンポ★3
◯キャラ★2.5◯画力★3
あらすじ
簡単にあらすじを紹介しておくと、主人公の神咲雫(かんざき・しずく)が父・豊多香(ゆたか)が遺した幻のワイン『神の雫』を巡って、ライバル遠峰一青(とおみね・いっせい)とバトルを繰り広げるという話。
バトルの中身は、父・豊多香の遺書に書かれた問題を解くというもの。その問題は長ったらしく書かれた情景描写の文章を聞いて、それが何のワインを示しているかを当てる。十二使徒と呼ばれるワインが12本、つまり12問ある。その正否を判定するのが、父・豊多香の親友・土肥ロベールという爺さん。
ワインを飲んだ直後の大げさリアクション
ワインを飲んだ時のキャラクターたちのリアクションが、とにかく大げさ。時には笑ってしまうことも。
例えばヒロインの見習いソムリエ・紫野原みやびがワインを飲んだ時は…

周りにお花畑が現れる。よくあるっちゃよくある演出。

主人公・神咲雫には羽が生えちゃいます。そこそこキレイな描写。
ただちょいちょい気になる描写も。神咲雫があるワインを飲んだ時に、ダビデ像が目の前に現れたそう。ただダビデ像って、例のフルに開チンしちゃってる像だよなー。ワインを飲んでるのに大丈夫か?と思ってたら…

余裕で大丈夫でしたーーっ!!( ´∀`)bグッ!!!
見事すぎる構図!!!これぞまさに『神の構図』!!そこまであからさまに隠すんだったら、何故そもそもダビデ像を思いついちゃったんだっていう(笑)
あと6巻も特にヒドい。異なるワインを試飲するごとに、色んな情景が目の前に現れる。その頻度が目まぐるしい。一回目はオーケストラ(自分が指揮者)、次は森の中に巨大な白亜の城、ラストは妖艶なクレオパトラが自分を誘惑。
ここまで来ると想像力では片付けられない。言葉は悪いですが、軽くラリってるとしか思えない。

他のキャラクターたちも目をつぶると「見えてきた」らしいんですが、絶対ポリフェノール以外にも変なん入ってるやん。傍からは普通に危ない集団にしか見えない。
長ったらしいセリフ・説明
十二使徒と呼ばれるワインの問題を出すとき、やたらその説明描写が長い。

この画像は半ページ分。もちろん丸々一ページが使われてる。ただし、その分量がハンパない。使徒によっては、10数ページとかもザラ。週刊モーニングで連載されてるので、使徒の説明だけで丸々潰れてることになる。こんだけ長ったらしいと、もう最初の方で何を言ってたか忘れてるっちゅーねん。

だからキャラクターも思わずアクビ。
アクビをしたいんはコッチやっちゅーねん。それぐらい、まあ退屈。
もはや口先の攻防
で、どうやって勝負の決着をつけるかといえば、口頭による『説明・表現』。まあ、これもいちいち長ったらしい。

チンプンカンプンとは、まさにこのこと。34巻では、輪廻転生や森羅万象など抽象的・観念的すぎることを語りまくり。「え?これワインのマンガでしたよね?」状態。

ライバル遠峰一青に至っては自分の世界へ没入。そしてナルシシズム的な表現を展開。いちいち鬱陶しく、もはや「お前は自分に酔ってるだけやろ」っていう。これを読者は延々と聞かされるですが、まさに反吐が出る。
もはや『語り』の勝負。いかにそれっぽい理屈で、もっともらしい説得力ある内容を表現できるか。舌ではなく、口先の勝負。
だから神咲雫が勝っても遠峰一青が勝っても、毎回いちいち腑に落ちない。明確な基準やルールがない勝負だから、正解が発表されてもどうしてもそれに『納得感』がない。目に見えないから、もうすぐどっちが勝つか負けるか分からないので『ハラハラ感』もない。

思わずヒロインの紫野原みやびも「勝ったかどうか分からない」状態。せめてマンガの世界だけでは分かっとけよ。
最終的には、あるソムリエが元も子もないことを断言しちゃう。

「ワインの表現なんて滅多にぴったりくるもんじゃないけど」
結局みんな雰囲気で喋ってんのかーい!だったら何故神咲雫にしろ遠峰一青にしろ、延々とペチャクチャ喋ってんねんっていう。喋れば喋るほど、ピッタリくる表現はできんやろ。
本当笑っちゃう。良くも悪くも、ムダにテンションが上がってしまった。
神の雫の総合評価
ストーリーの軸はシンプルで、神の雫という幻のワインを巡っての展開。それ自体は特に否定しない。ただ『競技性』を持ち込んだのが失敗。
主人公・神咲雫とライバル遠峰一青がほぼ一騎打ちするわけですが、勝った負けたのすったもんだが視覚的に意味不明。どっちが持ち込んだワインが正解で不正解だったのか、読者が分かりうるはずがない。多分、先に答えのワインが用意されていて、そのワインを「どうやって見つけるか?」という展開だったらアリ。
せめてマンガの中で勝ち負けの基準がハッキリ表現できてればいいが、それがない。ヒロイン自体が分からない状態。だから、どうしても感情移入して、そのバトルに「熱くなる」ことができない。
二人の勝負も長ったらしい口頭によるセリフで大半が占められる。どうしても全体的なテンポ感は悪くなる。一応作画のオキモト・シュウの画力はそこそこ。ワインを飲んだ時の演出は、そこそこ魅せる。特に女性は好きそうな描写ではあるものの、基本、終始退屈。特に後半にかけてのワンパターン・硬直的な展開は異常。猛烈に飽きる。
とりあえず4・5巻分ぐらい読めば十分の漫画。

◆Amazon.co.jp:神の雫 (モーニングKC)
◯70点!!!!
◯展開★2◯テンポ★3
◯キャラ★2.5◯画力★3